セツキシマブ、パニツムマブの投与にはKRASの遺伝子変異検出が必須になっているという話は前に何度か書きました
[:title=こちら]と[:title=こちら]
で、ニュースを見ていると、新しい遺伝子変異の話がでてきた
パニツムマブとFOLFOX4併用療法
第15回World Congress on Gastrointestinal Cancerでの報告では、パニツムマブとFOLFOX4併用療法の併用両方でKRASの変異で新しい知見が得られた
転移を有する大腸癌の初回治療として、パニツムマブとFOLFOX4の併用療法とFOLFOX4単独療法を比較したフェーズ3試験PRIMEの後方視的解析で、RAS遺伝子が野生型の患者で、パニツムマブとFOLFOX4併用療法の全生存期間(OS)の有意な延長が認められることが明らかとなった。
大腸癌の初回治療としてのパニツムマブとFOLFOX4併用療法はRASが全て野生型の患者でOS延長、RASに変異がある患者では注意が必要
またKRAS遺伝子のエクソン2だけでなくRAS遺伝子に変異があることは、パニツムマブの効果が低いバイオマーカーであることも明らかとなった。
つまり、
- これまで、パニツムマブの薬効で知られていた変異はKRAS遺伝子のexon2の部分
- 今回、KRASの他の部分の配列がFOLFOX4との併用療法の効果に関与している
ということです
FOLFOX4療法
FOLFOX療法というのは複数の抗がん剤を組み合わせた治療法です
- FOL…Folinic acid(フォリン酸)
- F…Fluorouracil(フルオロウラシル)
- OX…Oxaliplatin(オキサリプラチン)
という意味です
FOLFOX療法には複数のレジメンがあり、FOLFOX4はLV(ロイコボリン)と5-FU(フルオロウラシル)にL-OHP(オキサリプラチン)を併用したものになります
(GIcancer-netから)
KRAS exon2以外の変異
この臨床試験はPRIME試験と呼ばれる、国際的多施設共同ランダム化フェーズ3試験
未治療転移性大腸癌患者を対象に、パニツムマブとFOLFOXの併用とFOLFOX単独を比較
遺伝子変異が全生存期間 (OS)と無増悪生存期間(PFS)に与える影響をみている
遺伝子変異は、KRASに加えて、同じRAS遺伝子群になるNRAS、そしてBRAFを検索しています
- KRAS exon 3とexon 4
- NRAS exon 2と exon 3、exon 4
- BRAF exon 15
この結果が、新しい遺伝子診断の種になるのかどうか、継続して見て行きたいです