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共分散分析のメモ・その1

交互作用が見つかる場合、二元配置分散分析をして、ad-hoc 解析をしてきました。そのため、共分散分析(ANCOVA)の必要性は高くなく、使う機会に恵まれなかった。

とはいえ、使わないから知らなくて良い、ってこともないので、まとめることにしました。

共分散分析(ANCOVA: Analysis of co-variance)とは

共分散分析(ANCOVA)は、分散分析(ANOVA: Analysis of Variance)と回帰分析を組み合わせた統計解析手法です。分散分析は、要因の水準が観測値の平均値に与える影響を検定するための方法で、要因が 1 つなら一元配置分散分析、2 つなら二元配置分散分析でした。

共分散分析は、回帰分析の特性を取り入れつつ、比較対象の要因(独立変数)以外の因子(共変量、Covariate)の影響を観測値(従属変数)から取り除き、要因の水準が測定値の平均値の差にどの程度影響を与えるのかを検討する方法です。なお、共分散分析は、回帰分析の性質を持つため、共変量が従属変数と線形の関係にあり、回帰直線が平行である場合に適しています。

共分散分析のモデル式: \displaystyle{
Y{ij} = \beta _ 0 + \beta _ 1 X{ij} + \beta _ 2 C _ i + \varepsilon _ {ij}
}

  • $Y_{ij}$: i 番目の条件(グループ)と j 番目の観測値(従属変数)
  • $X_{ij}$: i 番目の条件と j 番目の観測における要因の値(独立変数)
  • $C_i$: i 番目の条件に関連する共変量の値
  • $\beta_0$: 切片、$\beta_1$: 独立変数の係数、$\beta_2$: 共変量の係数
  • $\varepsilon_{ij}$: 誤差項(平均 0 の正規分布で互いに独立)

分散分析、重回帰分析との違い

共分散分析は分散分析と回帰分析を組み合わせた手法なので、数式の形も重回帰分析と類似しています。

方法 調査対象 説明変数 目的変数 式の形 特徴
共分散分析 群間の平均値の差 名義尺度、計量尺度 計量尺度 $y=a_1x_1+a_2x_2+...+b+e$ 共変量が平均値に与える効果を調整できる
分散分析 群間の平均値の差 名義尺度 計量尺度 $y=a_1x_1+a_2x_2+...+b+e$ 3 群以上でも比較できる
重回帰分析 説明変数と目的変数の関係 計量尺度 計量尺度 $y=a_1x_1+a_2x_2+...+b+e$ 回帰係数や決定係数などで関係性を評価できる

また、共分散分析を行う際に注意が必要な確認事項もあります。

対象 内容 対応
独立変数と共変量 相関、多重共線性 強ければ、共変量を除外する
独立変数と共変量 交互作用 有意ならば、交互作用項を除外する
従属変数 正規性、等分散性 保証できなければ、観測値を変換する

計算の流れ

ANCOVA の計算手順は一般的に以下の通りです:

  1. データの収集および準備:従属変数、独立変数、共変量のデータを収集、整理する。
  2. モデルの設定:数式を用いて ANCOVA のモデルを設定する。
  3. パラメータ推定:最小二乗法などを用いて、モデルのパラメータ(係数)を推定する。
  4. 仮説検定:推定されたパラメータを用いて、独立変数の水準が従属変数に与える影響を検定する。
  5. 共変量の調整:共変量の効果を考慮し、要因の水準間を比較する。
  6. 結果の解釈:統計的有意性の評価結果を解釈する。