キアゲンが診断薬会社になってきた
キアゲンはバイオサイエンスの消耗品メーカーとして有名な会社です
これまで、DNAやRNAといった核酸研究の利便性を高めるためのキットを提供してきました
しかし、近年のゲノム領域の発展、医療とライフサイエンスの歩みよりから、多くのメーカーが診断領域に進出を始めています
キアゲンは、イルミナと並んで、今後、もっとも成長が期待できる企業だと思います
テラスクリーン
キアゲンはこれまで、HPVのDNA検査用途、KRASの変異検出用途で診断薬の開発を行っています
テラスクリーンは遺伝子の変異を検出するキットで、スコーピオン・ARMS法を採用しています
このキットはEGFR遺伝子の体細胞変異のうち、29種類を検出します
- 19 deletions in exon 19
- T790M
- L858R
- L861Q
- G719X
- S768I
- 3 insertions in exon 20
だそうです
ARMS法
ARMS法はAmplification Refractory Mutation Systemという意味です
Taqポリメラーゼ反応を使ってアリルや変異部位特異的に遺伝子を増幅できます
3'末プライマーでミスマッチがあるとPCRで増幅できなくなることを利用しています
そのため、3'末プライマーを上手くデザインすることが大切です
スコーピオン法
Scorpionという分子を使ったリアルタイムPCRの一種になります
リアルタイムPCR法とは蛍光色素を使って遺伝子増幅を検出する技術です
スコーピオン法は広義にはStructure Probeと言われる部類になります
Molecular Beaconが有名なこの技術は、PCRプライマーとは別に5'末に蛍光物質、3'末にクエンチャーと呼ばれる分子が結合したDNAプローブが必要になります
蛍光色素とクエンチャーは距離が大切です
両方の分子の距離が近いと蛍光色素はエネルギーがクエンチャーに取られて光りません
そして、分子が離れると蛍光色素は蛍光を発することができます
通常、DNAプローブはターゲットとする遺伝子配列とハイブダイズするこができます
このとき、蛍光色素とクエンチャーは離れるので、光ることができます
でも、PCR反応が進み、プライマーとTaqポリメラーゼで伸長反応が起こると、蛍光色素がついたDNAプローブは引き剥がされます
そして、引き剥がされたDNAプローブは自己会合してヘアピン構造をとります
このとき、蛍光色素はクエンチャーと距離が近くなるため、消光が起こります
EGFRの変異検出
このキットが肺がんのコンパニオン診断薬としてFDAの承認を得ました
QIAGEN N.V. today announced it has received approval by the U.S. Food and Drug Administration (FDA) to market the therascreen EGFR test as a companion diagnostic to guide the use of Boehringer Ingelheim's new targeted therapy, GILOTRIF™ (afatinib), for treatment of metastatic NSCLC in patients whose tumors have certain EGFR gene mutations. More than 200,000 new lung cancer cases are diagnosed every year in the United States, with NSCLC accounting for approximately 85% of cases, leading to an estimated 160,000 deaths.
The therascreen EGFR test enables doctors to identify EGFR mutation-positive patients eligible for treatment with GILOTRIF™ (afatinib). The FDA approval of the therascreen EGFR test marks a further milestone in the global expansion of QIAGEN's Personalized Healthcare franchise - and adds a third FDA-approved or cleared diagnostic kit to run on QIAGEN's efficient Rotor-Gene Q MDx. Approximately 120,000 metastatic NSCLC patients each year in the U.S. could benefit from testing for EGFR mutations, a total potential testing market of about $35 million, according to QIAGEN estimates.
QIAGEN Receives FDA Approval for therascreen® EGFR RGQ PCR Kit as a Companion Diagnostic for Lung Cancer Patients
大手製薬企業の研究者は、元は有名な研究者の集まり
大学や病院、研究機関などで学んだ技術を企業研究に利用している
そう思うと、大学で使い慣れたメーカーの奇術を自分の薬のコンパニオン診断に利用できるというのは便利なことなのかもしれません
この記事の下に書いてある文章
これからも期待できるメーカーだと臭わせる記載ですね
In addition, QIAGEN has more than 15 projects to co-develop and market companion diagnostics with leading pharmaceutical and biotech companies such as Amgen, AstraZeneca, Bristol-Myers Squibb, Eli Lilly and Company, and Pfizer.