日々のつれづれ

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ハーセプチンが用法・用量追加された

ハーセプチン(トラスツズマブ)はHER2陽性乳がん患者の第一選択薬です

HER2陽性乳がんは悪性度が高く、乳がんで一番多いホルモン感受性がんと違い、広く利用されている抗がん剤ホルモン剤が効かないことが知られています
そういった中、ハーセプチンが開発され、HER2陽性乳がんの患者様の生存率は劇的に改善しています

そして、ハーセプチンは近く特許切れを向かえようとしており、ハーセプチンジェネリック薬の開発が注目されてきています
ハーセプチンは抗体薬なので、後発薬はバイオシミラーというそうです)

で、ハーセプチンですが、世界中のお医者さまはより良い医療の実現を目指し、ハーセプチンの効果的な使い方の研究を進めています
今回、ハーセプチンの使い方についての研究成果から、新しい投与方法が厚生労働省から証人されました

トラスツズマブがHER2過剰発現乳癌の術後補助化学療法で1週間間隔投与の用法・用量追加の製造販売承認を取得

 中外製薬は6月14日、抗悪性腫瘍剤トラスツズマブ(製品名:ハーセプチン注射用60、同150)について、厚生労働省から「HER2過剰発現が確認された乳癌における術後補助化学療法としての1週間間隔投与」の用法・用量追加の製造販売承認を取得したと発表した。
 トラスツズマブは、すでに「HER2過剰発現が確認された乳癌」「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌」の効能・効果を取得している。
 今回のトラスツズマブの用法・用量については、2012年12月に開催された「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において公知申請に該当と評価され、その後の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において公知申請を行って差し支えないと決定された。

トラスツズマブがHER2過剰発現乳癌の術後補助化学療法で1週間間隔投与の用法・用量追加の製造販売承認を取得

公知申請

通常、薬の効能追加や用法の追加には、治験が必要です
ですが、「公知申請」は医師が集めた研究のエビデンスを下に承認するという制度です
詳しくは日経ドラッグインフォメーションに書いてあります
ご存知ですか?「公知申請」(前編)
ご存知ですか?「公知申請」(後編)

具体的な流れ

http://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/di/column/furukawa/201206/images/thumb_525353_furukawafigure.jpg

医者は疾患の治療に関して特権と責任を持っています
それは、医師法の下に、IRBの倫理承認、患者のインフォームド・コンセントが得られれば、医者は未承認の薬を使用できます
医者はこの研究成果(エビデンス)を論文や学会で発表して、世界中の医師から同意を得るのです
そうして、医者は患者にメーカー主導でない、新しい医療を創り出すことができるのです

メーカーが採算性が合わないという理由で、薬剤開発を行わないものです
公知申請は開発が進まない希少疾患や患者数の少ない疾患に特効薬が生まれる可能性を与える手段なのだと思います