日々のつれづれ

不惑をむかえ戸惑いを隠せない男性の独り言

C型肝炎治療も新しい時代になるのかも

C型肝炎ウィルス(HCV)は肝炎から肝がんを引き起こす原因の一つです

HCVウィルス

HCVウィルスはRNA型ウィルスです。
血液や体液(尿や腹水など)を介して感染します

歴史的に医療器具の汚染(輸血や臓器移植、注射針の使いまわし)で感染が広まったので、血液が注目されていますが、それだけではありません
そして、近年は輸血血液の検査を徹底することで、輸血による感染は減っています
http://www.kanen.ncgm.go.jp/forpatient_hcv_images/004.gif
(独立行政法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センターから)

でも、覚醒剤の回し打ち、ピアス、医療従事者の針刺し事故で増えているようです

一方で、感染の発見はウィルスのRNA量を測定するため、HCVが増殖しないと分かりません
つまり、感染早期では見つけられず、感染後1〜2ヵ月たたないと分かりません
肝炎.netが詳しいです

治療法

根治療法はHCVを体内から排除することです
従来、インターフェロン(IFN)が利用されています
ですが、IFN療法は治療効果が弱い、副作用が多い、高価などの課題がありました
ただ、最近は研究が進み、IFNの治療効果も上がっています
48週間の投与で40〜50%の効果(SVR:Sustained virologic response)が出ています

また、新薬も登場しました
ペグインターフェロンリバビリンです
その優れた治療効果から、この2剤の併用療法が国際標準治療法になっています

ペグインターフェロン

IFNにポリエチレングリコール(PEG)を結合しています
PEGが結合することで、IFNが体内でゆっくり分解されるようになり、効果が長く持続示します
http://gansupport.jp/img/cc_03/acd01/03.gif
(がん情報センターから)

リバビリン

元々はインフルエンザや帯状疱疹の坑ウィルス薬です
ですが、IFNと併用することで、HCVの駆除効果が2〜3倍高まることが分かりました
がん情報センターに詳しいです

経口の直接作用型抗ウイルス薬(DAAs:direct-acting antiviral agents)

現在は更に研究が進み、ペグインターフェロンリバビリンの併用療法よりも優れた薬剤が現れて着ました

近年、C型肝炎の治療薬として、高い抗ウイルス効果を持つ経口の直接作用型抗ウイルス薬(DAAs)が相次いで開発されている。
DAAsの登場により、治療の有効性が高まり副作用が軽減されることで、C型肝炎の治療の裾野は大幅に広がりそうだ。
(中略)
これまでC型肝炎の治療では、ペグインターフェロン(Peg-IFN)とリバビリンの2剤併用療法が行われてきた。
ただし、2剤併用療法を24週実施して治癒する患者は約50%。
多くの患者では48週という長い治療期間が必要となり、それでも治癒する患者は約70%だ。
IFNの投与に伴い、倦怠感や発熱などの副作用も出現する。
国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター長の八橋弘氏は、「中には、72週の治療期間を要するケースもあるが、それでも治癒しない患者もいた」と話す。

百花繚乱の直接作用型抗HCV薬開発

DDAsの特徴は、『HCVの遺伝子情報から患者に効きそうなDAAsを選び出す』ということです
http://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/report/201306/images/thumb_531201_hyou1.jpg
(NMオンラインから)
この出現によって将来は次のような治療法が実現するかもしれません
http://medical.nikkeibp.co.jp/mem/pub/report/201306/images/thumb_531201_zu1.jpg

IFNを用いない治療法への期待

DDAsの薬効の強さとIFNの副作用の大きさのバランスから、将来はDDAs単剤での治療(IFNフリー療法)も期待されているそうです
ただ、課題もあります

もともと特定の分子を狙うDAAsでは、HCVの遺伝子変異により薬剤耐性が生じやすい。
実験レベルでは既に、各DAAsへの薬剤耐性に関連する遺伝子変異が複数見つかっており、それらの耐性変異を持つウイルスに感染している患者や、治療中にウイルス遺伝子に耐性変異が起きた患者では、DAAsが効きにくくなるのではと考えられている。
(中略)
インターフェロンフリー療法の普及は副作用を軽減し、治療の裾野を押し広げる可能性を秘めると同時に、むやみに使えば薬剤耐性を生み、その後の治療の選択肢を狭める危険もはらんでいる。

百花繚乱の直接作用型抗HCV薬開発