HER2陰性転移乳がんの治療法
HER2陰性乳がんはホルモン受容体の存在で治療法が変わります
ホルモン受容体陽性なら、ホルモン療法が効果的です
(医知恵から)
転移・再発乳がんは治療選択が難しい
患者さま毎に、前治療の状態、原発乳がんに対する治療法や治療経過、そして現在の病態などが関係するからです
その中、乳がん学会で治療法に関する発表がありました
転移を有するHER2陰性乳癌で、アントラサイクリン系薬剤による治療歴がある患者に対し、カぺシタビン(X)とドセタキセル(T)の併用療法(XT療法)は、ドセタキセル単独療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長する
転移を有するHER2陰性乳癌でアントラサイクリン既治療の患者のPFSがカぺシタビンとドセタキセルの併用で延長
XT療法
カぺシタビン(X)とドセタキセル(T)の頭文字をとって、併用療法をXT療法といいます
XT療法については、SABCS2012でも報告がありました
HER2陰性の転移を有する乳癌で、アントラサイクリンによる治療歴がある日本人患者において、カペシタビン(X)とドセタキセル(T)併用療法(XT療法)は、ドセタキセル単剤療法(T療法)と比べて無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが第3相試験(JO21095)から示された。
カペシタビンとドセタキセル併用療法はHER2陰性の転移を有する日本人乳癌患者のPFSを延長
これからの主流となる治療選択肢なのかもしれません
CTCがバイオマーカーになる
ここで注目したいのはCTCの有効性が徐々に広がっているということです
探索的検討として、CTCの予後または治療効果の予測マーカーとしての可能性が検討され、148人で評価が行われた。
転移を有するHER2陰性乳癌でアントラサイクリン既治療の患者のPFSがカぺシタビンとドセタキセルの併用で延長
CTC 2未満を陰性、2以上を陽性とすると、治療前にCTC陽性の症例は、陰性の症例と比較して有意にPFSおよびOSが短くなることが示唆された。
CTCはcirclating tumor cellの略で、循環がん細胞とも呼ばれます
血液中に浮遊している癌細胞の数を単位血液量あたりカウントします
固型がん患者の末梢血液中には微少ながん細胞が循環し存在し、これを循環がん細胞Circulating tumor cell (CTC)といいます。
がん化学療法センターから
転移乳がん患者においてはCTCの存在は再発、予後不良の指標と考えられ、CTCを消失させることが治療効果を向上させます。
以前の日記でも少し書きましたが、患者負担も小さいので、期待の大きい研究だと想います。